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ボトックスによる治療について

こんにちは😃

みなさん〔ボトックス〕という言葉を耳にしたことがあると思います。

今回は〔ボトックス〕についてのお話です。

 


 

ボトックスとは

ボトックスはボツリヌス菌がつくり出すA型ボツリヌストキシン〔天然のタンパク質〕を有効成分とするお薬です。

ボツリヌス菌を注射するわけではありませんので、ボツリヌス菌に感染するといった危険性はありません。

さまざまな研究のけっか、このタンパク質のごく少量を緊張している筋肉に直接注射すると、その筋肉がゆるみ、緊張やけいれんがおさまることがわかっています。

また、わきの下の皮膚に注射すると汗腺の働きを抑え、過剰な発汗を抑えることがわかっています。

このような作用をもつことから、ボトックスは医薬品として使用されています。

 


 

ボトックスによる治療の対象となる病気は

 

・眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

・片側顔面痙攣(へんそくせいがんめんけいれん)

・痙性斜頸(けいせいしゃけい)

・小児脳性麻痺患者における下肢痙縮(かしけいしゅく)に伴う尖足

・上肢痙縮(じょうしけいしゅく)

・下肢痙縮(かしけいしゅく)

・重度の原発性腋窩多汗症(げんぱつせいたかんしょう)

・斜視(しゃし)

 

です。

 


〔眼瞼けいれん〕〔片側顔面けいれん〕は、

眼の周囲または顔面の筋肉が異常に緊張しておこる病気です。

 

〔痙性斜頸〕は、

首の周囲の筋肉が異常に緊張した、頭や首、肩などが不自然な姿勢を示したり、ときには姿勢は正常でも肩や首に強い慢性的な痛みが生じる病気です。

 

〔小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足〕は、

赤ちゃんがお腹の中にいる時から生後4週までに起こった脳の病変による運動と姿勢の異常を脳性麻痺といい、そのため下肢の筋肉に硬直がみられ、つま先が伸びた状態の変形を起こし、立ったり歩く時にかかとが床につかない状態をいいます。

 

〔上肢痙縮〕および〔下肢痙縮〕は、

脳卒中や神経疾患によって生じる運動機能障害のひとつで、筋肉が緊張しすぎて上肢や下肢が動きにくかったり勝手に動いてしまう状態のことです。

手指が握りこまれて開こうとしても開きにくい、ひじが曲がる、足先が足の裏側の方にまがってしまうなどの症状がみられます。

 

 

〔重度の原発性腋窩多汗症〕は、

明らかな原因がなく、体温調節を担う汗腺の過剰な働きにより、わきの下から多量の汗がでる病気です。

 

〔斜視〕は、

両眼の視線にずれを生じ、両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる病気です。

 


 

ボトックスの効果について

 

神経と筋肉の間では、アセチルコリンという化学物質が放出されて刺激が伝わり筋肉が収縮します。

この薬は投与した部分に作用して、アセチルコリンの放出を阻害することにより、神経の働きを抑え、筋肉のけいれんや緊張を抑えることができます。

また、汗腺の働きはアセチルコリンにより調節されていますが、この薬を皮膚に注射すると、汗腺の働きを抑え、過剰な発汗を抑えることができます。

 

・臨床試験の結果〔眼瞼けいれん〕〔片側顔面けいれん〕〔痙性斜頸〕〔2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足〕〔上肢痙縮〕〔下肢痙縮〕〔重度の原発性腋窩多汗症〕および〔斜視〕に対する有効性が科学的に認められています。

 

・効果は2、3日〜2週間で現れます。〔眼瞼けいれん〕〔片側顔面けいれん〕〔痙性斜頸〕〔2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足〕〔上肢痙縮〕〔下肢痙縮〕および〔斜視〕に対しては通常3〜4ヶ月、〔重度の原発性腋窩多汗症〕に対しては通常4〜9ヶ月効果が持続します。

 

・この薬はタンパク質が主成分であるため、治療を続けていくうちに、ごくまれに体内に抗体がつくられ、効果が減弱する可能性があります。

 

ボトックスの効果や持続性については、個人差があるので、定期的な受診をするとともに、担当の医師へご相談ください。

 

 

 

 

 

 


 

ボトックスの副作用について

ボトックスで次のような副作用が現れることがあります。

副作用が現れた場合には、すぐに担当の医師、または薬剤師・看護師に連絡してください。

 

・兎眼(とがん)、眼瞼不全(がんけんふぜん):まぶたが閉じにくくなること

・眼瞼下垂(がんけんかすい):まぶたが開きにくくなること

・顔面麻痺

・嚥下(えんげ)障害:ものが飲み込みにくい状態

・局所の筋力低下〔頸部筋脱力・口角下垂・下肢の脱力など〕

・全身の脱力

・転倒

・下肢の痛み

・流涙

・注射部位の痛み

・発疹

・注射部位(ワキ)以外からの発汗の増加

・複視:ものが二重に見える

 

 

これらの副作用のほとんどは、薬の作用が予想以上に強く現れた結果と考えられるもので、薬の効果が弱まるとともに回復しています

 

 

以下の症状が現れた場合は医師に連絡してください。

 

・アレルギー性の副作用として、皮膚の症状(発疹・かゆみなど)、消化器の症状(吐き気・腹痛など)、呼吸器の症状(息苦しさ・声のかすれなど)、ショック症状(意識の混濁など)が起こることがあります。これはアナフィラキシー(重いアレルギー反応)による可能性も否定できません。

 

・眼の周囲に注射後、まぶたが閉じにくくなる、目が乾いたように感じられる、あるいは反対に目が開けにくくなるなどの副作用が起こることがあります。

薬が効きすぎた場合に起こる副作用で、数週間で回復しますが、目が閉じにくい場合、目の乾燥によって角膜や結膜が傷つくことを防ぐため、点眼薬などで処置することがあります。

 

首の前側の筋肉に注射後、食べ物が飲み込みにくい、声が変わった、息がしづらいなどの副作用が起こることがあります。これは首・喉の筋肉の緊張状態や協調性が変化して起こります。通常、軽い症状は数週間で回復します。しかし、海外において、高齢の患者さまで食べ物の誤飲による肺炎が原因で死亡したとの報告ががありますので、症状が現れた場合には、ただちに医師に連絡してください。

 

・海外において注射後けいれんんが起こるという報告があります。また、この副作用は特に過去にけいれんを起こしたことのある方に多く報告されています。けいれん発作が認められた場合には、ただちに医師に連絡してください。

 

・この薬の効果は、筋肉に注射した場合は通常3〜4ヶ月、皮膚に注射した場合は4〜9ヶ月持続します。ここに提示した副作用のほかにも、副作用が現れる可能性がありますので、この間、具合が悪くなった場合やこの薬での治療に関して心配なことがあった場合は、医師に連絡してください。

 


 

当院では腋窩多汗症の方へボトックス治療を行なっています。

気になることがありましたら、お気軽にご相談ください