アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は湿疹とかゆみが見られるだけでなく、改善と悪化を繰り返す特徴をもっています。
アトピー性皮膚炎のメカニズムが全て解明されているわけではありませんが、アトピー体質を持つ人、アレルギーを起こしやすい人に多く現れることが知られています。
かゆみを感じて掻きむしってしまうと、さらに状態が悪化して炎症も強くなります。
まだ、完全には明らかになっていませんが、アトピー体質をもっている方がアレルギーを引き起こす物質 (アレルゲン)との接触や皮膚へ刺激などを受けると、アトピー性皮膚炎を発症すると考えられています。
お肌が乾燥しがちでバリア機能が失われやすい人、食べ物や金属に対するアレルギーがある人にも多いですが、心身のストレスも深く関与すると考えられています。
当院ではさまざまな治療方法を用意していますので、一人で悩まずにまずはお気軽にご相談ください。原因や症状の重さなどを見ながら、それぞれの方に合った治療を提案いたします。
アトピー性皮膚炎の主な原因
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患者様の体質
アレルギー体質(アトピー素因)
花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアレルギー体質がある方
家族の中にアレルギー体質の方がいる方 -
皮膚のバリア機能の低下
皮膚を外部から守るバリア機能(保湿能、感染防御能、修復能)の低下
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環境による要因
アレルゲン(アレルギー反応を生じさせる物質)
食べ物、ホコリ・ダニ、ペット類、花粉、金属など
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皮膚に触れる刺激物質
よごれ、汗、日光、衣類の繊維、洗剤、柔軟剤、シャンプー、洗顔など
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物理的・精神的ストレス
過労や睡眠不足、ストレスなど
アトピー性皮膚炎の
治療の目標
当院はアトピー性皮膚炎の治療に対して、適切な薬物の利用、状態を悪くする要素の特定と除去、スキンケアの三つの方向からの取り組みを推奨しています。
薬物の使用についてはステロイド外用薬を中心にしながら、状態に合わせた提案を行います。
アトピー性皮膚炎に悩む方の症状を解消すること、日常生活に問題が無い状態を維持することなどを目標に、治療に取り組んでいきましょう。
当院の治療法について
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アトピー性皮膚炎の症状は、重症・中等症・軽症・軽微という4つのステージに分けることができます。当院では症状の重さと原因を踏まえて、治療薬の使い分けを提案していきます。また適切なスキンケアや、状態を悪化させる要因の除去も含めて提案して症状の改善を目指します。
アトピー性皮膚炎は症状の悪化、改善を繰り返すことが知られていますから、短期的な変化で一喜一憂せず、適切な対応を続けて症状を安定させていきましょう。
スキンケアだけで安定して日々を過ごせる状態になることが、アトピー性皮膚炎治療の大目標です。 -
外用治療(塗り薬)
保湿剤
アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥して皮膚のバリア機能が低下することが大きな原因と考えられています。そのため、毎日しっかりと保湿剤を使用して、皮膚の乾燥を防ぐことがとても重要です。お風呂後は、出来るだけ速やかに(5分以内が目標)保湿剤を使用して、皮膚から水分が蒸発することを防ぐことが大切です。
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ステロイド外用薬
アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬は主要な役割を占めます。一口にステロイド薬と言っても強弱の段階が多数あり、症状の度合いに合わせて使い分けること、適切な塗り方をすることなどが重要です。また、使用期間が長くなるほど皮膚委縮などの可能性もありますから、専門性を持つ医師の指導に沿って使用してください。
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タクロリムス外用薬(プロトピック)
タクロリムスという成分を含む外用薬として、当院ではプロトピック軟膏を使用しています。免疫抑制剤として炎症を抑える作用はステロイド以上ですが、皮膚からの吸収率はステロイドより下回ります。
ステロイド外用薬で成果が薄かった時や、状態が改善している時などに使用しています。 -
内服治療(飲み薬)
ステロイド内服薬
ステロイド内服薬は、かゆみが強い時に短期的に使用します。ステロイド内服薬を使う際は、免疫力の低下、胃への負担、満月様顔貌(顔が丸くなる状態が見られる)など懸念事項はありますが、短期的な利用ならメリットの方が上回ります。
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免疫抑制剤
免疫抑制剤は、ステロイド内服薬の副作用を避けたいとき、ステロイド内服薬でかゆみや湿疹がコントロールできない時、症状が落ち着いている時などに状況を見ながら使用します。
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皮膚科光線療法
ナローバンドUVB
ナローバンドは光感受性薬剤を事前に使用しなくても利用できるので、利便性が高いことが特徴です。治療に必要とされる中波長域の紫外線(311nm)をランプから照射して使用します。