皮膚科光線療法とは
皮膚科光線療法は、発疹等の治療を必要とする部分に対して、装置の光源から紫外線を照射する治療方法です。過剰になった免疫反応を抑制する作用があり、皮膚のトラブルに対して内服薬や外用薬で改善が見込めない時に使用するケースが多いです。また、外用薬を塗るには発疹の総面積が広がってしまった場合にも有効です。
日光浴がアトピー性皮膚炎や乾癬に効果を示すことは以前から調べられています。その一方で、太陽光はさまざまな波長の紫外線を発しており、人体にダメージを与えてしまう波長域も存在しています。
当院が使用している紫外線照射装置は、治療に役立つ波長域のみの紫外線を発することができるので、デリケートなお肌に悪影響を与えることなく、目的とする治療を遂行することができます。
当院では皮膚科光線療法の専用機器を2台導入しており、それぞれ有効でありながら違う波長の光照射が可能です。保険診療の範囲で皮膚科光線療法を提供できる症例もありますので、皮膚科に関連したご相談はぜひ当院にお寄せください。
光線療法の作用メカニズム
ヒスタミンは皮膚などのかゆみの感覚を起こす物質として知られています。ヒスタミンが神経に作用することで、脳はかゆみの信号を受け取るのです。脳がかゆさを感じると、指先などで掻(か)く動作を行い、気持ちよさを得ます。掻き過ぎると痛みが発生して動作をやめますが、この時にはかゆみが治まっています。
近年の研究では、白斑やアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や乾癬は、リンパ球の一種が関連している自己免疫反応だということが解明されてきました。
また、かゆみを発生させる物資として、細胞から出て免疫反応に関与するケモカインやサイトカインという存在も知られるようになりました。
当院が採用している皮膚科光線療法は、特定の波長の紫外線を照射することで、リンパ球の一種であるT細胞の働きを抑制して、症状を改善していく作用を持っています。
このように説明すると難解ですが、要するに内服薬や外用薬にない作用が期待できます。皮膚のトラブルを改善・解消したいと思っている方は、皮膚科光線療法を利用できる八幡クリニックにご相談ください。
適応症
尋常性乾癬・類乾癬・円形脱毛症・尋常性白斑・結節性痒疹・掌蹠膿疱症・アトピー性皮膚炎・菌状息肉症・慢性苔癬状粃糠疹・悪性リンパ腫
皮膚科光線療法のメリット・デメリット
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メリット
- 他の治療より副作用が低い割に高い治療効果が得られる
- 他の方法より費用負担が少ない
- 他の方法で解消できなかった皮膚疾患への効果が得られる場合がある
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デメリット
- 複数回の受診を必要とする
- 強い日焼けのような状態になる場合がある
- お肌の光老化を促進してしまう可能性がある
- 色素沈着が起こる可能性がある
よくある質問
- Q
皮膚科光線療法とは何か具体的に教えてください
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A
皮膚科光線療法とは病変部位に光線を照射する治療法です。
(1) 中波長紫外線を照射するUVB療法:波長308ナノメーターだけを放出するエキシマライト療法、311ナノメーターを放出するナローバンドUVB療法を主に用いて、白斑、乾癬や他の難治性皮膚疾患に有効性を見出しています。エキシマライトが一番効き、ナローバンドUVBは広い範囲の病変部に適していると思っています。 また、痤瘡(ニキビ)等には可視光線(415ナノメーター)を使い、アクネ桿菌をクリアする療法を行っています。
(2) クリア療法:この療法は850~890ナノメーター(近赤外線光)も含んでいるので肌にも良く、シワがなくなり肌が若返るとされています。痤瘡(ニキビ)等にも使用します。 - Q
ナローバンドUVBとは何ですか?
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A
ナローバンドUVBではUVB(中長波紫外線)のうちで有効な非常に狭い波長域だけを照射して治療を行います。今までのUVBは波長域が290~320nmの紫外線を照射していましたが、ナローバンドUVBではこのうちで最も治療効果が高く、副作用が少ないとされる311~313nmの波長だけを照射します。つまり照射量を多くしても副作用が少ないため、治療に有効な照射量にまで上げることができると考えられています。
- Q
どのような場合皮膚科光線療法を行うのでしょうか?
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A
一般に内服・外用で有効性が乏しい場合や、無効な場合に選択する治療法です。
- Q
皮膚科光線療法が有効な皮膚疾患は何ですか?
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A
UVB(ナローバンド)療法は、慢性難治性皮膚疾患といわれる白斑・乾癬・ 掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、類乾癬、扁平苔癬…などに使っています。また掻痒(かゆみ)の強い皮膚疾患、蕁麻疹にも有効性があります。これらについては論文、学会報告していますので参考としてください。特に難治性で有効性や副作用を重視される方はエキシマライトをお勧めします。また、クリア療法(波長415ナノメーターおよび850~890ナノメーターを放出する)もニキビおよび美肌をお望みの方に行って有効性を見出しています。
- Q
副作用が心配です。
-
A
皮膚科光線療法のうちUVB(ナローバンド療法)は紫外線照射ですので、やけどをする可能性があります。ただ当センターでは、やけどのような副作用を抑えるため、また効率的な治療を行うために皮膚科光線療法開始の前段階で光線テストを行います。
これは患者さん一人ひとりに適した照射量を測定する検査で、これにより副作用を最低限に抑えられ、安心して治療に入ることができます。また皮膚癌についても、極めて発癌率が低いという結果や報告があり、我々もそれを強調するため学会において発表し、論文でも発表してきました。皮膚科光線療法のうちニキビ、美肌に効くクリア療法は副作用はないとされています。 - Q
費用はどのくらいかかりますか?
-
A
当院では主として保険診療で行っています。