アトピー性皮膚炎の方は日頃どんな事に気をつければよいのでしょうか。
今回はアトピー性皮膚炎の方の日常生活についてのお話です。
【食事について】
アトピー性皮膚炎の悪化原因は、食事や生活環境などいろいろ考えられますが、むやみに食事制限をしたりする必要はありません。
何を食べた時に症状が悪くなったかなどを医師に伝え、医師と相談して必要な場合に特定の食物を避けるようにします。
乳幼児の重症なアトピー性皮膚炎の方の10%くらいに食物アレルゲンが関与していると言われていますが、それ以外の方では食事制限はほとんど必要ありません。
また年齢が上がるにつれて食事制限は不要になります。
食事について疑問があったら、必ず主治医に相談することが大切です。
【日常生活での注意点】
《衣類》
- 直接身につける新しい下着などは、一度水洗いをしてから着るようにしましょう。
- 直接皮膚に触れる素材は、吸湿性にすぐれた綿が好ましいでしょう。夏は汗をかきやすく、からだがほてるため、通気性のよいものを選びましょう。冬はウールなどのセーターが直接皮膚にあたるとチクチクしてかゆくなるので、下に綿のシャツを着るようにしましょう。
- 最近は、アレルゲンを通さない特殊な布地が出ています。医師に相談し、状況によって、ためしてみてもよいでしょう。
- タグや縫い目が刺激になって、かゆみを起こすことがあります。下着など直接皮膚に触れるものはタグを取ったり、裏返しに着るなどの工夫をしましょう。
- しわやゴムがきついことで、刺激になり、かゆくなることがあります。しわのない服を選び、ゴムはきつくしないなど注意しましょう。
- 洗濯の時は、洗剤が残らないようによくすすぎましょう。柔軟剤が刺激になる人もいますので気をつけましょう。
- 夏季は温度調節した上で、直接皮膚をかかないように長袖を着るなどの工夫をするのもよいでしょう。
《寝具》
- 綿・羽毛布団や羊毛布団はダニが発生してアレルゲンとなることがあるため、ポリエステル綿が好ましいとされています。
- 布団やたたみはダニなどが発生してアレルゲンとなることが多いので、注意しましょう。
- 布団を干してたたいた後に掃除機をかけ、ダニを吸い取るようにしましょう。
- 可能であれば、床をフローリングにし、ベッド下は空間が空くように置くのがよいでしょう。

《部屋の掃除・換気など》
- 室温調整は重要です。
- 夏季は暑くて汗をかき、それが刺激となり、かゆみが起きます。また、外気温が高いと血管が広がって、かゆくなることも多くあります。エアコンを適宜使用して、快適な温度を保ちましょう。
- 冬季は暖房が強すぎたり、乾燥したりすることで、かゆみが増します。部屋を暖めすぎない、適度に加湿することなどが必要です。ただし、加湿器はきちんと掃除をしないとアレルゲンをばらまくことになるため、こまめな掃除が必要です。

《ストレスをためないように》
精神的ストレスは、アトピー性皮膚炎を悪化させる大きな原因です。
ゆとりのある生活を心がけましょう。
無理をしない、イライラしない、あせらないないことが大切です。
学生の方は試験の時、仕事をしている方は忙しくなると症状がひどくなることが多いようです。
睡眠不足など不規則な生活も原因だと考えられますが、ストレスもおおいに関係があります。
《主治医・医療従事者との関わり》
一人で悩まずになんでも医師・看護師に相談しましょう。
医師や看護師の説明を聞き、アトピー性皮膚炎の管理を指示通りに正しく行いましょう。
《その他の治療法》
様々な民間療法がとりざたされていますが、科学的根拠から有効性が示されたものはありません。
【夏季に注意すること】
- 汗は、それ自体が刺激となります。汗をかいたらやさしく洗い流すようにしましょう。
- 虫刺されがひどくなりやすい傾向があります。かぶれないことを確かめてから、虫除けスプレーをし、刺された後は薬をぬるといったことを心がけましょう。
- 砂遊びなどの外遊びの後は、よく手を洗い、必要によっては保湿薬をぬりましょう。
- プールの消毒によって、皮疹(皮膚の状態)が悪化することがあります。プールから上がった後は、よく洗い流すことが大切です。洗った後は必ず保湿薬をぬりましょう。
【冬季に注意すること】
- 外気や暖房などの影響で、皮膚は乾燥してカサカサになりやすい季節です。保湿を心がけましょう。
- 厚着は避けましょう。汗をかいて症状が悪化することがあります。
4回にわたり、【アトピー性皮膚炎】についてお話してきました。
アトピー性皮膚炎のことはもちろん、
それ以外でも、皮膚のことについて気になることがあれば、
いつでもお気軽にご相談ください。