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尋常性白斑について
一般皮膚科
こんにちは。
桜も満開になり、心地良い季節になってきましたね。
これから薄着になり、肌の露出も増え、皮膚のことが気になるという方もみえると思います。
今回は〔白斑〕についてのお話です。
皮膚病の一種です。
古くから〔白なまず〕とも言われています。
皮膚の一部、もしくは広範囲に色が抜けおちて、白い斑点や斑紋が現れる病気です。
白斑には痛みやかゆみはありません。
また、白斑自体が人間の生死に直接関わることもありません。
したがって、白斑が社会で大きくクローズアップされる機会はそんなに多くありません。
つまり、白斑に関わりのない方にとって、白斑がどんな病気かを知る機会がそれほど多くないということです。
白斑の方にとって世の中できちんと理解されていない病気ほどつらいものはありません。
たとえば顔に白いまだら模様があった場合、見た目はどうしても異形にうつります。
白斑は人から人へ伝染する病気ではありません。
にもかかわらず、何も知らない方は白斑の人から距離をおこうとすることがあります。
このように白斑は肉体的な苦痛を伴うことはありませんが、白斑のある方にとってはとても心が痛む病気だと言えます。
白斑部分にはメラニン細胞がなかったり、あってもごくわずかしか存在しません。
また、人によってはメラニン細胞が休眠状態ということもあります。
メラニン色素を作れないメラニン細胞です。
機能を失なったメラニン細胞の多くは、外毛根鞘(がいもうこんしょう)という体毛の根元にも存在していて、体毛も白毛になります。
白斑は医学専門用語で『尋常性白斑』と呼びます。
尋常性とは〔ふつうの〕という意味です。
尋常性白斑は大きく分けて2種類に分類できます。
汎発型
尋常性白斑のなかで最も多いタイプです。
からだじゅういたるところに白斑が現れます。
分節型
皮膚の神経に沿って白斑が発症するため、通常からだの片側に白斑があらわれます。
白斑内に白毛を伴うことが多く、どちらかというと、汎発型に比べて治りにくいタイプです。
現代医学では白斑の根本的な原因は解明されていません。
皮膚の表面近くにあるメラニン細胞が破壊されるか、その機能を失うことにより、
茶褐色の色素であるメラニンを作り出せなくなってしまうことが直接的原因となります。
では、なぜメラニン細胞が破壊されるのでしょうか。
あるいはメラニン色素を作る機能がなぜ失われてしまうのでしょうか。。。
大きく分けて4つの説があります。
• 自己免疫疾患〔じこめんえきしっかん〕説
• 色素細胞自己破壊〔しきそさいぼうじこはかい〕説
• 神経説
• 遺伝説
一般にこの〔自己免疫疾患説〕が有力視されています。
人のカラダには免疫機能があります。
免疫機能とは、異物がカラダに入り込んだとき、その異物を追い出そうとする働きのことです。
この免疫システムが正常に働かなくなると、カラダが自分自身を攻撃するようなことが起きてしまいます。
何らかのきっかけで、色素を作るメラニン細胞を異物と誤認して免疫機能が作動してしまうことが考えられます。
その結果、自分自身のメラニン細胞を攻撃して壊したり、色素を作りだす働きを弱めてしまうのではないかというのが〔自己免疫疾患説〕です。
メラニンとはヒトの細胞や組織に存在する色素の総称です。
これを作り出すのがメラニン細胞(色素細胞)です。
メラニンを作り出す過程で生じる中間代謝物質(ドーパやパクロム)には毒性があることが知られていて、これがメラニン細胞を壊すのではないかという説です。
白斑の中で『分節型』と呼ばれるものは、神経の流れに沿って白斑が発症します。
また、ウィルス性脳炎や多発性硬化症などの神経疾患を持つ人が白斑を発症するケースが多いことが、この神経説の根拠とされています。
同じ家系のなかに複数の人が白斑を発症するケースがあります。
また一卵性双生児の兄弟がともに白斑をもっていたり、
あるいは、白斑の人の遺伝子を調べると、ある特殊な遺伝子(HLA-DR4)をもつ頻度が高いということなどもわかっています。
白斑の方の中には甲状腺異常などの自己免疫疾患を併発しているケースがあります。
甲状腺はのどぼとけの下にあり、ヒトの様々な生命活動を支える〔甲状腺ホルモン〕を分泌します。
呼吸や心臓の拍動、消化、発熱、皮膚代謝など、生命活動のあらゆる働きにかかわってきます。
この甲状腺が働きすぎたり、反対に働きが悪いケースが白斑の方に多く見られます。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などです。
白斑があったり、白斑に気がついた場合には、ぜひ血液検査をしておくことをお勧めします。
白斑の治療として
【光線療法】【皮膚移植】などがあります。
治療法については当院ホームページに詳しく記載してありますのでご覧ください。
白斑のことはもちろん、それ以外でも皮膚のことについて、
気になることがあればお気軽にご相談ください。